2019年9月22日日曜日

エレクラフト K2 の製作 その11

すべてのパーツの取り付けが終わった。

はずだが、残っているパーツがある。

抵抗2本とコンデンサ1本
マニュアルには抵抗の値ごとに何本必要かが書いてあるし、どこに取り付けるかも書いてある。これで実際組み立てた基板の何処に付くかが検証できる。で、この2本の抵抗を調べると、全て既定の位置にとりついているので、余りのパーツと判断した。
コンデンサーは、103で基板の裏側に取り付けるものだが、この大きさのパーツでは高さが高すぎてケースに収まらないところが1か所あって、そこはもっと背の低い部品を手持ちのパーツから取り付けた記憶がある。
この写真でパワートランジスタとケース取り付け用のブラケットの間にある黄色のコンデンサがそれ。手前の青い104はこれも高さが高いので寝かして取り付けている。他の部分の103は基板裏側にとりつくものはすべて寝かせて取り付けたがここだけは無理だった。
使う数が多いコンデンサは値ごとに形状を変えているみたいなので組み立てる時に間違いは少ないが、こういうところが出てくるみたいだ。といってもすべてのパーツでここだけなので組立時のめんどくささを考えれば仕方ないかもしれない。
(手前の青い104の角が溶けているのは半田こてが触れてしまって溶けた跡)

完成形

これからは機能チェック
まず各バンドでの受信感度調整。バンドパスフィルタのコアを回して一番聞こえる場所にとりあえずセットする。
次に送信電力チェック
パワーメーターとダミーロードを使って、受信感度と同じコルのコアを使ってパワーが最大になるところに微調整する。
ややこしいのは、2バンドで共通のコイルを使っているバンドがあるので、一つのバンドで最大にするともう一つでパワーが出ない場合があることで、両バンドで同じパワーになるように調整した。
しかし、最初はいくらやっても7W以上パワーが出ない。やはりトロイダルコアの巻き方や終段のインピーダンスマッチング用のトランスの巻き方が悪いのかと疑ったが、マニュアルを読むと送信時の電流制限をかけられるらしい。これをチェックすると2A以上は流せない設定になっていた。これを2.5Aまで上げてみたらで14.5Wまで出るようになった。
でも24Mhz,28Mhz帯ではいくら調整しても8Wしか出なかった。
あまり使わないバンドだから良いことにしよう!


(2.5-0.2)×13.3V=30.59W
ここで0.2は受信時に流れる電流、13.3は電源電圧、これだとファイナルの効率は約50%だからまあまあそんなもんかな?

最後にスプリアスチェック
これはスペクトラムアナライザーが必要だが、SDRPLAY社から出ているRSPduoというSDR受信機にスペクトラムアナライザー用のソフトがあって、これを使うと簡易型のスペクトラムアナライザーとして使える。
これもUSB接続でパソコンとつないで使うタイプ。
受信信号がない状態の画面は、
ところどころ内部発振なのか信号が見えるが、これを5W出力設定で接続すると
基準信号以外にはほとんど信号は見えない。これで1Mhzから51Mhzまでスキャンしている。
基準信号は-14dBmの強さ。
これはパワーメーターに-50dBのアッテネーター出力が付いているのでこれを測っている。
このスペクトラムアナライザーでは0dB=1mWだから-14dBは40μW=0.00004W
でアッテネータ分を割り戻すと4Wだからまあまあそんなものだろう。
パワーメーターの裏側
50dBアッテネーターアウトプットマックス0.1wと書いてある。
ということは入力は10KWまで可能ということになるけど???
パワーメーターの計測範囲は3kwまでだけど
made in taiwanだからこんなもんかな。

ともかく、これで一応基本のK2キットは制作完了ということになる。
後はオプションパーツの組み込みで、
購入したのは
160mキット
ノイズブランカ
ssbキット
オーディオフィルタ
IOコントローラ
の5つなのでまだまだ先は長い。

2019年9月16日月曜日

台風15号の被害

温暖化のせいか、台風の威力が近年増しているように感じる。感じるところか実際被害にあっている。
今回の台風は関東直撃で、うちのアンテナも相当の被害が出た。
SAT用の仰角ローテーターを付けた430Mhzのアンテナは、仰角時にアンテナと干渉しないようにステーがかなり下にしか取れなかった関係で、ローテーターにかなりの力がかかったのかケースが割れた。
ローテーターでアンテナを支える構造が悪かったみたい。これに伴ってアンテナのエレメントやブームも曲がってしまった。
八重洲に聞くと、部品としては売ってくれるが、ケースとクランプで約7,000円との事。発注してから2から3か月納期がかかるらしい。

次はクッシュクラフトのR-9バーチカルアンテナ。
トップヘビーなのか途中のトラップコイルのところで曲がった。これは去年の台風でも曲がって、トラップコイルだけ購入して直したばかりだった。
また購入するのはさすがに嫌なので、こちらは自分で治すことにした。
ユニディでアルミパイプを探すと同じ径のパイプが1mで700円で売っていた。
 曲がったトラップコイルのR-9 )台風対策で下げた状態だったけどトップヘビーな部分がやられた)

 取り外したトラップと購入したアルミパイプ

曲げもどそうとしたら破断したトラップ

元々の材料はジュラルミンだろうから、アルミだと強度は弱そう。

トラップを分解すると
上下にコイルは分かれていて下のコイルの心棒が割れていたのでこれをアルミパイプと交換。パイプとコイルの端部はリベットで固定されていたので、ドリルでリベットを破壊して取り外す必要があった。新しいパイプはタップを切ってビス止めとした。(写真はタップを切る前)

完成したトラップ
肉厚は見たところ同じだがアルミとジュラルミンだと強度が違いそうなので今度建てるときはこのトラップコイルの上からナイロンステーを取ることで計画するけど、微妙にコイルの容量も変わっているだろうしうまくいくかどうか不明。長さで調整できそうだし何とかなるかな?

元々マルチバンドで3.5Mhzから50Mhzまで一本でオンエアできるのが魅力だったが、14Mhz以上は別のアンテナがあるし、3.5,10Mhzが働けば良いのでそのバンドだけ調整すればいいから多少の特性の変化はどうにかなるだろう!

というか21Mhz以下は本体とは別にフルサイズのサイドエレメントを働かせるらしいのだが、地上高も低くなるしゲインもないので使い物にならない。あまり欲張らずにもっと単純なアンテナにすべきだったと今更ながら反省している。

その他、ロングワイヤーは細い電線を使っていたのでATUのコネクタ部分で切れてたし、VHFのアンテナは風で方向が90度回っていたりしたけどこれは修理は簡単にできそう。

エレクラフト K2 の製作 その10

7Mhzの受信ができたところで、バンドパスフィルターとローパスフィルターの特性を測ってみることにした。
回路図で赤枠で囲ったところがフィルターだが、その中の赤丸の場所をVNAの測定点にして計測した。
使ったアナライザーは簡易ベクターネットワークアナライザーでアマチュア無線家が設計したもので、英国のSDR-KITで購入できる。
設計は写真にあるようにDG8SAQで1Khzから1.3Ghzまで計測できる。表示はUSBでPCと接続して行う。VNAは一昔前なら個人では手が出ない価格だったがアマチュア無線家向けに簡易仕様だが十分使える性能を持っている。とどこかに書いてあった。

こんな感じで計測

結果は
バンドパスフィルターの特性
マニュアルでは信号発生器のシグナルを受信し、耳で調整となっている。
ジェネレーターの周波数を7020Khzで調整したが、それをVNAで見てみるとピークが少しずれていた。それをVNA画面を見ながら再調整したのがこの画面。
単一の周波数で調整するとそこがピークになるようにしか調整できないが、この画面を見ながらコイルのコアを調整するとバンド幅全体でちょうどいいところの調整ができる。
しかし、バンド外の損失が直近はかなりの損失があるが少し離れるとー10dbしかないけどこれでいいのかな?
といってもこれ以上調整するところもないし、バンドパスフィルターのコイルは既製パーツだからコイルの性能は変わらないはず。ま、良いことにしよう!

次はローパスフィルター
計測は
こんな感じ、赤のプローブをコンデンサの足に挟んで計測

結果は
9Mhz位から減衰してかなりの損失があるが、周波数が離れるとまた-10db程度の損失になっている。
これもいいのかな?
こちらは自分で巻いたトロイダルコアなので自信がない。しかし測りながらコアの巻き線を少しずらしたりしてみても変化はない。

ブロックダイアグラムを見ると、受信時はローパスもバンドパスも通過することになっているから、両方のフィルターの合計の損失が得られる設計だからいいような気がする。送信時は、ミキサー出力がバンドパスフィルターを通って、そのあとでパワーアンプになるからパワーアンプでの歪はローパスしか通らない。でも、15W出力だから問題ないのかな?
送信部ができたところで高調波を測ってみてちゃんと減衰していればいいか!


2019年9月13日金曜日

エレクラフト K2 の製作 その9

やっと調整とテストのパートⅡまで進んだ。
この段階で、7Mhzの受信ができるはず。
心配はトロイダルコアを自作することだが、思ったより簡単にできた。



で、PLLの発振確認から始めたが、いきなりのトラブル。周波数が安定しない。全く安定しないのではなく下限周波数は安定するが上限周波数がふらつく。何回も部品番号やはんだ不良などを確かめたが一向に治らない。
3日ほどいろいろやってダメなので、elecraftのテクニカルサポートに連絡した。症状を書いてビデオを付けて送った。その時のビデオが、
https://youtu.be/bZqwfKDTQNU

一日で返事があり、

I'm sending you 2 new J310 transistors to replace both Q18 and Q19 on the RF Board. We have had some bad batch problems with those transistors and they produce the error you are seeing.

73,
Dave, W8FGU 

Elecraft Customer Support

高周波FETの不良らしい。で代替品を送ってくれるらしいが、また、これで1週間は止まってしまう。調べるとJ310はディスコンであまり手に入らない。
そこで家の部品箱を探すとJ310の買いだめがあったのでそれでテストすることにした。

心配なのでトランジスタチェッカーでテストしてから置き換えた。

て、VFOのリニアリティIF周波数の調整などを済ませて、最後にバンドパスフィルタの調整をするためシグナルジェネレータを繋いで受信音を確認するのだが、

Sメーターは振れるもの音は聞こえない。
トラブルシューティングを順に実行したが、一番怪しいAFアンプは、サイドトーンが聞こえるので問題ないとのこと。
これで2日間悩んだ。また、トランジスタやダイオードの破損かとも思ったが、サイド基板を分解してよく見ると、部品番号が付いてるのに実装してないところがある。
で、思い出した。ここにはオプションのAFフィルタのジャックが表面について裏にR19、R18を取り付けるのだが、オプションを付けない場合はジャンパ線でショートさせる必要がある。しかし、すでに購入してまだ未到着のため後で取り付けようと思って開けてあった。ジャンパ線を半田付けすると取り外すのが面倒だと思って忘れていた。
ここまでこんなに早く進むと思ってなかったから、調整の前には届いてその時取り付ければいいやと思って放っておいたのを思い出した。これに気が付くまで2日かかった。

色々あったがやっと何とか7Mhzの受信ができるようになった。
後は他のバンドのバンドパスフィルタと送信部の部品取り付けで完成予定。

2019年9月7日土曜日

エレクラフト K2 の製作 その8

今日の作業完了時のボードの様子
PLLと受信部のパーツをほぼ付け終わった状態。
ついにトロイダルコア巻き手前まで来た。

今日の作業は、いろいろトラブルがあった。まずICのディスコン問題。
SMDに変更になったパーツを3か所取り付けるが、内一か所がコンデンサの足が邪魔で取りつかない。
取りつかないことはないが、あまり気持ちよくない。
で回路図を見るとコンデンサとICの1ピンは接続されている。ならば
上の写真のように加工した。

次はアダプタをかましたSMDの取り付けで、油断していたら少し足が浮いて斜めに半田付けしてしまった。電動半田吸い取り機がなかったらあきらめるが、気持ち悪いので取り付けなおすことにした。半田が残っていると8本のピンを同時に温めないと修正できないが、きれいに外れた。
修正後は
これで気持ちよくなった。

クリスタルの取り付けは、ケースにグランドが必要だが、クリスタルによってグランドの取り付け方が違う。これもちゃんと説明を読まずに進んだら修正する羽目になった。
BFO用のクリスタルは、ケース頭からグランドをとるが、クリスタルフィルタ用の一部はサイドからとれと書いてある。
頭からグランドをとったクリスタル。

両サイドからグランドを取ったクリスタル。

説明書は
こうなっている。

また、基板にあるX2のクリスタルは使わないとなっている。

日本語マニュアルは2個セットすることになっているから仕様変更だろう。
先ほどのグランドの取り方もすべて同じ方法と書かれている。

基板の変更が効かないのか、裏から追加でパーツを取り付ける場所もあった。

完璧に場所や種類を間違いなく取り付けられたか不安があるが、ともかくやっとここまで来たので、次のトロイダルコア巻きも頑張ろう。

2019年9月6日金曜日

エレクラフト K2 の製作 その7

RFボードの製作の続き
今日は、PLLシンセサイザーと受信部のレジスタとレジスタアレイの取り付け
はっきり言ってめんどくさい。一応テスタで測った数値をレジスタのラベルに書いてはあるが、測った実測値とカラーコードの示す数値がぴったり合っているわけではない。1/8wのレジスタは小さくてカラーコードがよく見えないし、結局これだろうと思ったレジスタをもう一度測りなおすことになる。測るにしてもテスタのリード棒を一々当てるのは測定中押さえていないといけないので大変。でキャパシタやインダクタの値確認用のLCRメータに注目すると、リード線を差し込むスロットが付いている。
どうせ基板に取り付けるのにコの字に加工するので、加工後にスロットに差し込めば測定中持ってなくていいので多少楽になる。

取り付け中の基板とレジスタの測定

レジスタアレイの最後の一個が入ってないと思ったら、基板の記号はレジスタアレイだが、ここは変更があったのか小さな基板(PLLアップグレードキット)を取り付けるようになっている。
しかもこの基板も組み立てる必要がある。中身はレジスタとサーミスタだから温度補償が後から付け加えられたようだ。この部分は日本語マニュアルではただのレジスタアレイになっている。でホームページを見たらK2にはK2AとK2Bがあるらしい。AからBのアップグレードキットという形で販売されている。


E850138_K2 Temperature Compensated PLL Reference Upgrade
$24.95

という製品番号、しかしこの基板のキットで2600円は高い
PLLアップグレードキットを組み立てたところ、(例によって切り取って不要になったリード線でコネクタリードを製作する)
取付完了写真、元々の基板を変更せずにレジスタアレイのホールを利用して取り付けるので隣接するICとのクリアランスが非常に狭い。

今日の作業完了時の基板 (抵抗47個、アレイ4個、基板1個取り付け)
(斜め上から撮影したものを編集でパースペクティブを修正し、真上から撮影したようにしたが、基板上の部品は斜めから見たままなので変な写真になっている)

今日の作業に費やした時間 約4時間 疲れた!

2019年9月5日木曜日

エレクラフト K2 の製作 その6


マニュアルについて
私はelecraftのホームページから個人輸入という形で購入したため、日本語のマニュアルはついていない。
ローカルのOMから日本語マニュアルを借りた。
比べてみると、各所で記述が違う。

一例がR64の値、日本語では470Ωとなっているが英語は100Ω
英語版についてきた正誤表を見てもここの訂正はない。
マニュアルの日付は日本語が2002年、英語は2012年だから10年差がある。
多分仕様変更になっているのだろう?
しかし、こうなると日本語マニュアルだけ見て製作するわけにはいかない。
パーツについては英語版を参照するほかない。
しかし、組み立て途中の検査方法などは日本語を読むとよくわかるので、使い分けようと思う。

で、チェックの続き
今回はグリーンLCDのキャリブレーション、サイドトーン機能、電流測定、周波数測定プローブの作成など


これがプローブ、と言っても先端の端子と同軸の間に10pFのコンデンサを入れただけだが

で、これをどうやって使うかというと、
コントロール基板に不明なプラグ二つ付いているが内一つに繋ぐと、正面の液晶が周波数計として使えるようになるメニューがプログラムされている。電圧についても同じだがこれはDMMでもOKとの事。
この基板でもう一つ工夫があるのは、RFボードに取り付けた基板を取り外せるように、基板に穴が開いていて、ここに六角レンチを挿入すると丁度ビス頭を支点にして、てこの原理を使うと簡単に取り外せること。

キットとして設計された基板であることがよくわかる。

LCDのテストは

うえの写真二枚はdayとnight仕様の表示

この2枚はグリーンLCDのドット表示とライン表示の電流量の差(0.08と0.12の差)
バッテリー駆動の場合はドット表示を推奨するとの事。
(左のE以下は電圧表示)
これ以外に、サイドトーンの周波数・音量、Sメーターのキャリブレーションなどをここで行う。

ここまでうまく動けばやっと次の部品取り付けに移れる。