よくモーターをKV値で判断しますが、どうも性能を示す指標とは違っているように思います。
KV値の定義は1V時の無負荷回転数ですから、同じ電圧で良く回る方がなんとなく性能が良いように思います。
しかし、実際いろんなモーターを使ってみると、回転は上がるけどトルクがないモーターがあります。
KV値を決める要素は
1.磁力の強さ
2.巻線の太さ
3.巻回数
4.モーターの大きさ、モーターの重量
などですが、4.のモーターサイズというのは、でっかいモーターはちょっとの電圧ではなかなか回らないし、大きな電圧で回すのでサイズの大きなモーターほどKV値が小さくなりパワーもあるのは直感的に理解できます。
では、同じサイズだと、磁力が強いほど、巻線が太いほど、巻き数が多いほどKV値は小さくなります。KV値が小さい=回りにくい=磁力が強い です。磁力を強くするには永久磁石の性能を上げる、電磁石の巻線数を増やす、大きな電流を流すです。しかし、巻き線が細ければ抵抗が大きく電流が少なくなって回らないために見かけKV値が下がったり、太い線は物理的に巻き数が減ってしまうなど現実にはいろいろと障害が出てきます。
一方、モーターの性能を端的に表すのはいわゆるパワーがどのくらいあるか?ですが、パワーは電気的にいうと電力ですから電圧×電流ですし、力学的には回転数×トルクと表せます。トルクは磁力の強さに比例します。
今回はマイクロモーターを2Sで使って100サイズのヘリを飛ばす場合に一番パワーがあるとはどういうことか?を考えます。
まず、前提となるKV値を求めます。
ここで考慮することはモーターではなくESCの性能によって最高回転数が決まってしまう事です。
ESCにもよりますが70000回転から80000回転がESC側で決まる最高回転数です。
なので、14000KVのモーターを2Sで使っても132000回転迄回ってしまうので意味がないです。
2Sで使える最高KVは大きくても12800KVまでです。ESCの性能によってはもっと低くなるかもしれません。
ということを踏まえて、
ローター回転6500RPM、メカの効率を0.85で飛ばすことを考えると最高回転数の70%くらいにガバナーをセットアップして6500RPMが実現できれば、フルパワーが要求されるフルピッチ時でも6500RPMを維持でき、パワーのいらないホバリング時でもそこそこの効率で飛ばせそうです。
これを逆算するとギア比が8なら11800KVのモーターが良いということになります。
計算式は
目標回転数÷余裕度÷メカ効率×ギア比÷1S電圧÷セル数=6500÷0.7÷0.85×8÷3.7÷2=11800KV
となります。
ギア比が6.1ならやはり8000KV位が良さそうです。
ここからが本題ですが、(と言っても私の勝手な解釈ですので真偽のほどはわかりません)
11800KVや8000KVのモーターなら何でもいいかというとどうも違うようです。
前回の8000KVは不満で今回の12000KVは満足した理由があるはずです。
そこで、モーターをLCRメーターで計測してみました。
測ったのは10khzの交流に対するインダクタンスとリアクタンスです。
HK14000は買ったままのモーターです。zyunnsei12000は、今回満足の手巻きモーター、temaki12000はKV値を下げようとして細い線を使ったモーター、temaki18000は手巻きを始めたことに製作した14000を目指したのに永久磁石の消磁でKV値が上ってしまったもの、temaki8000は細い線を使ってKVを無理やり8000KVにあわせたものです。
モーターによってかなりの差があります。
パワーを出すためには電流を多く流す必要がありますが、抵抗が大きいと電流は流れません。
とすると抵抗は小さいほうがよさそうです。
インダクタンスは基準電流における起電力の大きさですから、これが大きいほうが磁力は強くなると考えられます。磁力が強いとということはトルクが大きいしKVは低くなる方向です。
結果インダクタンスが大きくリアクタンスの小さいモーターが性能が良いことになります。
ただ、この測定数値そのものはどういう数値かはわかりません。この数値に1Sの電圧をかけてもとんでもない電流が流れることになります。
実際のモーターはデルタ巻やスター巻など種類がありますし、2相を同時にオンするタイミングもあるので実際流れる電流とこの抵抗の関係は良く解りません。が、相対的な傾向はわかりそうです。
前回使って不満だったtemaki8000はインダクタンスが40μHもあってリアクタンスが1.4Ωですから両方とも他のモーターと比べて一桁数字が大きいです。磁力はそれなりにあるものの電流が流れない=パワーがないモーターということになります。逆に18000KVは、回転数は上がるけどトルクのないダメダメモーターのはずです。
ではなぜこんな違いが出るのかですが、巻線は12000KVは0.18のポリウレタン線ダブル9回巻に対して0.15シングル15回巻です。
余りパワーのことを考えずにKV値だけを目標に合わせた結果だと思うのですが、細い線で巻き数が多いので線の長さが長くなり抵抗が大きく、巻き数が多い分インダクタンスは大きいのだと思います。
zyunnsei12000の方はダブル巻してますが秘密はここにありそうです。交流の場合周波数が高くなればなるほど表面を流れる電流が多くなり中心部が減ってくる表皮効果があります。例えば同じ断面積の0.1mm4本と0.2mm1本では表面積はなんと2倍0.1mm4本の方が大きくなります。しかも、小さな線を数多く巻いた方が線と線の隙間が少なく密度高く巻けるので巻き数も増えます。2倍長く巻いても抵抗は同じでインダクタンスは倍のモーターが作れそうです。こんなことが影響してモーターの性能に差が出たのでは無いかと思ってます。
この理屈でつじつまが合わないのは、hk14000に比べてzyunsei12000の方がインダクタンスが小さいのにKV値が小さいことですが、この二つのモーターはかなり重量が違うのとスター巻とデルタ巻の差があります。この差が出ているのかもしれませんがはっきりわかりません。
これをもっと積極的に利用してギア比を下げて(61:10=6.1)8000kv程度のモーターを使ってみたいものです。
最初に書いたようにKV値はモーターサイズに一番関係が深そうですから、100サイズ搭載の小さなボディーのマイクロモーターでパワーのある8000KVを求めるのが間違っているかもしれません。
しかし、もっと細い0.1mmポリウレタン線を多重巻して抵抗を増やさずにKV値が下げれれば実現できるかもしれません。
もくろみとしては表の赤字の部分、目標と書かれたところの0.1mm8本10回巻ができれば8000kvのモーターができるかもしれません。
が、実際はポリウレタン被膜の厚みがあって10回は無理そうですし、0.1mmのポリウレタン線を持ってないので試すことができません。残念!