製作といってもKITを組み立てて少し改造を加えただけなのだが。
ベースとなるKITは、貴田電子7,10MhzトランシーバーのKEM-TRX-2Bというやつで、7メガと10メガの2バンドCW専用機。
ネットを見ているとham関連でもいろんなものが売っている。
特に安くてつい購入ボタンを押してしまうのがe-bayというショッピングサイト。
ここでは、7Mhzのダイレクトコンバージョントランシーバーがわずか400円で買える。
しかも送料只!ほかにもいろんなものが安く売ってるが、うたい文句と実際が大きく異なることは少なからずある。そんな中で貴田電子のKITは純国産で少し高いが期待していた。
この中華製KITの話題は別稿に譲るとして、今回はこの国産TRXを組み立ててみた。
期待が大きかったのか、完成はしたが今一の感じ。クラブのOMに聞いてもあまり良い評判は帰ってこなかった。
一番気になる点は、ノイズの大さと内部発信があることで、あまり使う気になれなかった。セッティングの数値にRITの値を使うというのもなかなか使いにくい。
しかし、中華製と違ってマニュアルがしっかりしていることもあり、半田付けの経験があれば割と簡単にできてしまう。
e-bayのは説明書など全くついてこないものもあるからこの辺は大きな違いだろう。その分値段も良いのだけれど。
割と高出力で3W程度出ているし、エレキー内蔵なので手間いらずだが、
上記も含めて気になる点をまとめると
1.ホワイトノイズ?が大きい・・・回路内部のノイズだろうと思うがサー、ザーという音がバンド全体にかなり大きく聞こえる。
2.ケースが必要。商品ページの写真は本体基板にLCDがくっついているが、説明書では3cm以上離さないと発振するとなっていてケーブルがついてくるが、これではLCDが安定せず裸の基盤では持ち運びができない。しかも、LCDを離しても発振する。
3.KX3やIC7300などに比べて感度が低い。(ノイズのせいもあるかもしれない)
4.イヤホンが必要
5.PX3やIC7300のバンドスコープを見慣れているとLCDの周波数表示だけでは使いにくい。
ということで、少し改造してみることにした。
まずケース。少し大きめのを選んで回路を追加できるようにした。
次にホワイトノイズだが、最初、今はやりのDSPを使ったAFフィルターを使ってみた。確かにノイズは小さくはなるが、何とも音がくぐもった感じで好きになれない。
で、パッシブLPFを作ってみた。回路はCQ出版の”作りながら理解するラジオと電子回路”の記事を参考に、というかそのままパクって、イアホンジャック手前に挿入しただけだが、これは素晴らしい。抵抗を入れたので出力が落ちているが全くと言ってもいいほどノイズが消えてほとんど聞こえない。入感するとCW音だけが素直な音で聞こえてくるので大変気持ちが良い。ついでに内部発信の音も消えてしまった。
FT-50-77トロイダルコアにエナメル線0.4mm80回巻き2個とセラミックコンデンサで構成されて電源不要のローパスフィルタ。
(同じ基盤に載っているレギュレータはスピーカアンプ用の9V電源でフィルタとは関係なし。)
ということでイアホンは疲れるのでスピーカーで聞きたい時があるため、300円で買ってきたスピーカーアンプを入れてイアホンを外すとスピーカーから音が出るようにした。
配線で隠れて見えないけどスピーカーの上にあるのがアンプ。
感度の問題は、プリアンプを入れてみることにした。通常だとノイズばかり増幅されてあまり聞きやすくはならないが、AFフィルタでここまでノイズが消えるとRF段にプリアンプを入れても大丈夫かもしれないと思ってやってみた。入れたのは前にノイズキャンセラに使った小信号広帯域FET増幅器(トロイダルコア活用百科に載ってるゲート接地のアンプでHF全体に+12dbほどのゲインがあるそうだ)
ここで困ったのが、送信時にプリアンプを切り離す必要があるが、この貴田電子のキットはPTT出力が無い。で回路図とにらめっこして。PICの26番ピンがTX-CRLらしいのでここから信号を取出し、リレー用にトランジスタスイッチをかましてリレーを動かすことにした。
この基盤がPTT回路でリレーの横のトランジスタがPTTスイッチになる。
基板の下にあるプリアンプ
ほとんど見えません。
ケース内部全体は
こんな感じ。画面右のほうが空いてるみたいだが、LCDにぶつかるので空けてある。画面下の空いてる部分に送受信時使えるBPFを入れられるスペースを空けてある。
最後に、バンドスコープだが、これは難問。もともとこのTRXは中間周波数を持つヘテロダイン方式で、SDRで使うダイレクトコンバージョンではない。
考えられるのは、
1.アンテナ端子を分岐し7Mhzの信号をそのままRTLSDRのドングルに入れる
2.中間周波数が4Mhzなのでクリスタルフィルター前の広帯域の信号を取り出し、同じくUSBドングルに入れる
2のほうがイメージ混信など少なくてよさそうだが、このキットはIFミキサを1チップICで処理してるみたいでIFを取り出す場所がなかった。で、プリアンプ後の信号を別のコネクタに出力し別付けでIQ信号を取り出すUSBドングルをつけることにした。
SDR用7Mhz出力(というか同調回路がアンテナ以外無い場所から取り出してるのでHFの信号がすべて出力されることになるが)
部品が入手できたら7Mhzのバンドパスフィルタを入れようと思う。(ただしこれでは10Mhzは対応できない。IFの4Mhzを使えば7,10関係なく使えるのだが。まあ10Mhzは使わないので無視することにした)
SDR用のI/Q信号はドングルが生成してくれるのでこれをフリーソフトのHDSDRで復調すれば原理的にはバンドスコープができる。
e-bayで買った1000円のVHFワンセグUSBドングルとHFを100Mhzアップコンバートするコンバータ
タブレットパソコンにフリーソフトのHDSDRをインストールし、USBドングル経由で接続で繋いでみた。
画面詳細
ちゃんとCWの信号が見える程度に復調してくれるが、タブレットの性能が悪いのかTRXから出る音とコンマ何秒か遅れて聞こえる。が、バンドスコープとして使うなら問題なさそう。
しかし、自分が送信してる時にこのSDRをミュートする方法を探さないと飽和して使い物にならなくなるし、多分プリアンプが焦げそう。今後の課題!
エレクラフトのKX3と大きさを比べてみた。
KX3があれば移動はこれでできるじゃないと言われそうだが、こんな高価な機械では傷つけそうで持ち運ぶ気にはなりません。
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