2016年2月4日木曜日

3.5MHz VCHアンテナ設計編


3.5MHzバンドはアマチュア無線に割り当てられた周波数帯としては低い周波数の部類に入りベテランが多いバンドらしい。特徴は夜間に国内QSOが安定して行えるらしく国内遠距離でのラグチューが盛んに行われている。もっとも強力に入感する局はハイパワー局らしいが。

しかし、低い周波数=波長が長いということであり、アンテナはよほど広い敷地がないとダイポールなどそう簡単には設置できない。一般的には場所をとらない垂直系が多いと想像できるがそれにしても1/4波長で20mだからフルサイズはなかなか難しい。コイルで短縮するしかなさそうである。

一番楽な方法はRW(ロングワイヤー)+ATUで適当な長さのワイヤーを屋根越しに逆Lに張って、ATUで強制的に同調させる方法だが、試みた結果、感度・飛び共にいまいちの感覚だった。ATUの効率が悪いのかカウンターポイズが悪いのかわからないが、あまり好きになれない。

そんな折、所属するクラブの講習会で7MHzのVCHアンテナ製作講習が去年の秋にあった。完成したアンテナを使ってみたが予想以上に飛びが良かったため、何とか3.5Mhzでもできないか検討を始めることにした。

ググってみるとVCHというのは開発者のコールサインらしいが、別にvertical coil harfの略でもあるらしい。ホット側のエレメントの中間にコイルを入れた垂直アンテナという意味だろうか?
しかし、7MHzでの製作記事はググるといろいろ出てくるし開発者の製作記事がCQ誌に載ってたりするのでまねれば製作自体は簡単であるが、3.5MHzでの製作記事は見当たらない。ということは自分でトライ&エラーを繰り返すしかない。

VCHの特徴はコイルをホット側エレメントの中間に配置することで実長を長くせずにオフセット給電して電流分布をコイル部分で最大になるように調整同調させることで、本来の垂直アンテナの理論インピーダンス36オームを給電部オフセットの効果で50Ωに近づけ,更に電流分布をコイル部分で最大になるようにすることであたかも給電部が実際より高い位置にあるのと同じ効果が得られる事で飛びが良いと評判のアンテナである。

MMANAで、講習会で製作した7MhzVCHをシミュレートしてみた絵

赤線が電流分布、赤丸が給電部で、この二つがダイポールやバーチカルアンテナでは一致するがVCHではずれるのが最大の特徴
(赤×は集中定数=延長コイル)

トライ&エラーといってもやみくもにやっても仕方がないので、とりあえず7MHZのサイズを2倍にしてみたがまったく同調せず。ここで一旦あきらめかける。この段階で調整用機器はSWRメーターと自作のアナライザーだが広い範囲のスキャンができずどの辺に同調しているかすら皆目見当がつかない。

まずはアナライザーをそろえることから始めた。
候補は、

SARK100 11000円


MR100 8000円



他にはラズパイを使って自作する事もできそうだが、安易に安物を購入することにした。MR100である。EBAYで買える。電池駆動出来ないので外では使えないが、私のシャックとアンテナ位置では屋内使用で問題ないし、いざとなればバッテリーパックを外付けできる。何よりパソコンにデータを送り広範囲にわたってグラフ表示してくれるところが気に入っている。

アンテナシミュレーションソフトは今回は4NEC2を使ってみた。パラメーターの設定が色々できて変化させた時の最適化がMMANAより複雑にできる。

シミュレーション結果は
1.VCHの特徴を大きく出したセッティング(コールドエレメントを短くしてコイル容量を大きくした場合)


2.コールド側を長くコイルの短縮率を少なくした場合


シミュレーション条件は、製作の事を考えて、最高高さは一定(15m)ホット側エレメント長固定(3.85m)、コールド側は指向性を考慮して途中から2本に分岐し180度向きを変えて配置として、コイル定数とコールドエレメント長を変えてみた。

コールド側 長さを6m固定にしてコイルを変化させた場合
74.56μHで同調しその時の電流分布が1.の状態

逆にコイルを60μHに固定しコールドエレメントを変化させた場合
13.62mで同調し電流分布は2.の状態になった。

違いは電流分布以外に帯域幅である。2パターンを比較すると、SWRが2以下の範囲がかなり違うことがわかる。短縮率を上げると帯域が狭くなるのが良く解る。1.はオフセット効果は出そうだが帯域が狭くアンテナチューナー併用でないと使えないので、今回は2.で行くことにした。
2.のSWR

次回製作編につづく

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